炭酸ガスレーザーでイボを除去。気になる料金と治療後、経過の様子
「最新の医療技術で、イボやほくろを除去したい」と思った時に
「炭酸ガスレーザー」による治療が思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか?
確かに、炭酸ガスレーザーと聞くと、「イボやほくろ」の除去に効果が大きそうに聞こえます。
しかし、それと同時に
・料金がどれくらいかかるのか?
・治療後に跡は残るのか
などの疑問が浮かぶかと思います。
こちらの記事では、炭酸ガスレーザーの種類や仕組み・原理から、料金(保険はきくのか?)、治療後の様子などを詳しくご説明していきます。
目次
レーザーにも種類がある
「レーザー」というと、1つの機械のように感じるかもしれませんが、実はものすごく沢山の種類があります。
当院でも、19種類37台の医療美容機器を取りそろえていますが、それぞれ向き不向きの治療があり、これだけの種類が必要というわけです。
1、2台のレーザーですべてを治療するのは無理な話なのです。
レーザーには大きくわけて2つの種類がある
レーザーには大きくわけて2つの種類があります。
2) 削るレーザー(盛り上がりや凸凹を平らにするレーザー:傷跡ができる可能性があるレーザー)
1)の色選択式のレーザーは、
・「黒」に反応するレーザーは、「脱毛」「シミ」「黒・茶色のアザ」に効果を発揮します※1。
・「赤」に反応するレーザーは、「血管腫」「赤アザ」「赤ら顔」の治療ができます※2。
これらは、色にしか反応しないので、正常な皮膚のところに間違って当たってもほとんど反応がありません。また、皮膚の表面に傷あとを作らずに治療することができるので、広い面積の困った症状に対処することができます。
一般的に「レーザー」でイメージされている機械のはこちらの種類のことです。
※1「黒」に反応するレーザー:「アレキサンドライトレーザ」「ルビーレーザー」「YAGレーザー」など
※2「赤」に反応するレーザー:「ダイレーザーレーザー」など
2)のもう一つの削るレーザーは、レーザーが当たったところすべてを削る
色があろうがなかろうが、通常の皮膚であろうが、盛り上がったイボであろうが、へこんだ傷跡であれ、どこでも削ることができます。
削るレーザーなので、強く治療しすぎたり加減を間違えると傷跡を残してしまうことになるので、治療には注意が必要です。
こちらの機械では「ニキビ跡」「傷跡」「イボ」「老人性イボ」など、主に凸凹を改善するのに役に立つタイプのレーザーです。
炭酸ガスレーザーってどんなもの?
今回の記事の主題にもなっている「炭酸ガスレーザー」がどちらのタイプに当てはまるかというと「2」の削るレーザーです。
削ることができるため、盛り上がったイボを取ることができます。
顔のイボ・体のイボは炭酸ガスレーザーで治療をするのに最もおすすめのできものと言えます。
炭酸ガスレーザーのメリット・デメリット
メリット1:1回でイボが取れる
炭酸ガスレーザーの一番のメリット、それは個々のイボに対してはほぼ1回で治療が終わり、手間がかからないことです。
治療後の通院も、特に問題が無ければ通院無しでもOKな場合や、1週間後ぐらいに通院を1回行って終わりのケースが多いと言えます。
そのため、治療部位が1週間ほどで治ったら、処置も不要になります。
メリット2:傷跡が残りにくい・シミになりにくい
炭酸ガスレーザー、特にその中でもフラクショナル炭酸ガスレーザーと呼ばれるタイプは、治療後傷が残りにくいなという印象です。
しかも、液体窒素の治療と比べてシミにもなりにくい(なったとしてもイボと同じ大きさ)
特に、体の大き目の3㎜を超えるイボの治療は、炭酸ガスレーザーが一番優れていると患者さんたちの治療を通じて感じています。
デメリット1:保険がきかないので高額な治療になりがち
炭酸ガスレーザーでの治療は、保険がきかず自費診療となります。
自費の場合は、各クリニックによって値段設定が異なりますが、1つあたり数千円~10,000円程治療費がかかり、治療する数が多いと高額な費用になります。
また、大きいイボほど高額になる可能性があります。
デメリット2:限られたクリニックでしかレーザー治療が受けられない
炭酸ガスレーザーは、機械としても高額なためどこのクリニックにでも置いているわけではありません。
「近くの皮膚科で気軽に」と思ったら、レーザーがそもそも無かったということにもなりますので、身近なクリニックで治療を受けようと思ったら、まずはレーザーがあるかどうか確認が必要です。
デメリット3:医師の技術と炭酸ガスレーザーのタイプによっては傷が残る
メリットの方で、傷が残りにくいと書いたのは「フラクショナル炭酸ガスレーザー」
フラクショナルではない通常の炭酸ガスレーザーでは、傷が深くなり一生消えない傷跡が残る場合があり、担当するDr.の技術次第と言えます。
(ここでちょっと宣伝。私のクリニックではフラクショナル炭酸ガスレーザーは秋田・東京共に用意しており、イボ治療の研修を受けた医師が担当しています♪)
デメリット4:治療後の赤みが数カ月残る
炭酸ガスレーザーでの治療は、治療自体は1回で終わりますが、治療後の赤みが数カ月ほど残ることがあります。
顔で2カ月ほど、体では数カ月程度赤みが残る印象です。
炭酸ガスレーザーで治療がおすすめのイボ
炭酸ガスレーザーが、すべてのイボが炭酸ガスレーザーが優れているとは限りません。
そこで、炭酸ガスレーザーでの治療に向いているイボをご説明していきます。
*以下の記載はすべて炭酸ガスレーザーの中でも「フラクショナルタイプ」に向いているイボについてお伝えしています。
フラクショナルレーザがどんな機械なのかは、この記事の最後の方を参照してください。
炭酸ガスレーザーがおすすめのイボ
おすすめ2位:3㎜を超える体のイボ
おすすめ3位:手の甲のイボ
おすすめ1位:顔のイボ
顔のイボの中でも、脂漏性角化症(老人性イボ)、脂腺腫の治療に向いています。
一見すると「シミ」のようにも見えます。
ところがすごく近くで見るとわずかに盛り上がっているシミ・・・。
これはシミではなく「イボ」のでき始めです。
この場合も、炭酸ガスレーザーで削ることで1回で除去が可能です。
こちらは一見「シミ」のように見えますが、大きな脂漏性角化症です。この場合は炭酸ガスレーザーが一番効果的。
そして、こめかみのところに「脂腺腫」も見えます。
脂漏性角化症は1回の治療でほぼ取れます。
しかし脂腺腫は取れますが、再発の可能性があります。
治療の流れ
2) 治療部位の麻酔注射
3) 炭酸ガスレーザーで削る
4) 軟膏を塗ってテープを貼る
当日夜は洗顔できませんので、クリニック受診したら洗顔をお願いしています。
治療後はこのままお帰り頂いて、その日に洗顔することはNGです。
炭酸ガスレーザーで削ったところは、擦り傷のような状態になっるので翌日から処置が必要です。
治療をした翌日からは
2) 傷を乾かさないように、洗顔後するに軟膏を塗る
3) テープを貼る
という流れで、治療をおこなっていただきます。
テープを貼った上から、メイクはOKです。
この治療を、1週間ほど繰り返すと、削ったところがきれいに治り傷跡も残りません。
それでは、実際の臨床現場での状況をちょっと覗いてみましょう。
イボ治療の術後の写真
今回は、髪の生え際にある茶褐色のイボ(脂漏性角化症)を治療で来院した患者さんにご協力をいただきました。
治療前の写真
髪の生え際にある、茶褐色のイボを炭酸ガスレーザーで治療します。
治療後、きちんとしたケアを行い1週間経過したところ下記のようになりました(同じ向きの写真じゃなくてごめんなさい)
術後の写真(経過)
治療後1週間ぐらいですと、まだ治療経過途中なので赤みが残っていますが、この赤みもいずれキレイになくなりますのでご安心ください。
イメージしやすいのは、擦り傷だったところが治って目立たなくなっていく経過と同じイメージで問題ありません。
たった1回のレーザー治療で、ここまで簡単にきれいに治療できるので、顔のイボでお悩みの方におすすめの治療法と言えます。
*3)治療後の処置に関しては、傷につく細菌をしっかり洗い流すことが、キレイに治すポイント!
・毎日、治療した部分をしっかり流水で洗ってください。
・洗わずに、傷を大事にしすぎて、細菌がついている状態では傷の治りも悪く、かえって感染によって傷が深くなったり広がることがあります。(こうなってしまうと一生残るような深い傷に進んでしまうこともあるので、とにかく洗浄は大事です)
炭酸ガスレーザーの治療費用
レーザーを用いた治療はすべて、保険のきかない自費治療となります。
ゆえに、治療費用はクリニックによりばらつきがあります。
イボの治療1つあたり 数千円~10,000円程度のところが多く見受けられます。
イボの大きさによって、1㎜×○○円というクリニックもあります。
治療するときの注意点
炭酸ガスレーザーで治療する際の注意点が2つほどあります。
1週間はテープを貼ることが必要
傷が乾いてしまうと、きれいに治らないので、茶色のテープを貼ります。
なぜテープを貼るかというと、昔は、傷を乾かしてかさぶたにするとよいと言われていた時代がありました。しかし、現代では「ウエットドレッシング」と言って湿った環境にある方が傷跡が目立たなく治るという治療法が主流です。
傷パワーパッドなどと同じ原理です。
テープを貼った上からメイクをしていただくことは可能です。
治療後に、うっすらとシミができるケース
治療後のうっすらとしみ(炎症着色素沈着)が残る場合があります。
シミ(炎症後色素沈着)に関しては、ハイドロキノンクリームという美白剤を使用すると早く改善しやすいです。
美白剤を使用しなかった場合は半年~1年弱ほど色が取れるまでかかるケースもありますので、うっすら茶色が見え始めたら早めの美白剤の使用をオススメします。
炭酸ガスレーザーで治療しない方が良いイボ
炭酸ガスレーザーの良さをお伝えしてきましたが、実は炭酸ガレスレーザーでの治療を行わない方が良い「イボ」も存在します。
それは、手指や顔にできる「ウイルス性のイボ」。
このウイルス性のイボは、皮膚の傷にどんどんうつっていく傾向があります。
なので、炭酸ガスレザーで間違て削ってしまうと、レーザーで削った奥深く・周りの傷にどんどん広がってしまいます。
ウイルス性のイボと他のイボが一緒に存在しているときは、まずは、ウイルス性のイボを「液体窒素療法」で治療し、その後に「炭酸ガスレーザー」を使うという順番を守らなければなりません。
治療して一生の傷ができる場合も
イボもきれいに治療できる炭酸ガスレーザーですが、気を付け無ければならないのは「首のイボ」!
首のイボに炭酸ガスレーザーを用いると、削る深さが深くなり一生残る傷跡ができる例が多々あります。
下の写真は、他のクリニックで炭酸ガスレーザーで治療を数年前に受け、傷が残っている症例です。
白い矢印で指示した先に傷跡が見られますが、残念ながらこの傷跡はこれ以上薄くなったり、目立たなくなることはありません。
ちょっとわかりにくいかもしれませんので、傷あとを拡大した写真も掲載しますね。
治療をする際の削る深さや、治療後の処置が適切でないと、このような結果を招いてしまいます。
本当に、治療をする医師の技術の差が大きい治療法と言えます。
しかしながら、非常に気を付けて施術を行っても肌質によってはこのように傷が残ってしまうケースもあり、傷が残った時に首は目立つ場所なので、私は炭酸ガスレーザーでの首いぼ治療はオススメしていません。
炭酸ガスレーザーは「顔のイボ」には最適!「首イボ」にはNG!
同じ「イボ」と言われるものですが、炭酸ガスレーザーによる治療では、顔のイボは1回で取れ、傷あとも残すことなく治療ができるので本当に良い方法だと思います。
一方、首のイボを治療した場合は一生涯消えない傷アトになる可能性があるので、お勧めできません。
イボの治療を行う際は、レーザーによる治療は万能でないこと、そして、それぞれのレーザーがどの治療に向いているのかをしっかり心得ている医療機関での治療をおススメします♪
首イボ治療にはmikoメソッドを
首イボ治療研究会に参画しているクリニックでは、イボのレーザー治療についてのご相談も、LINEや電話にて受け付けております。お気軽にご相談ください。
治療例 40代女性
また、首イボの場合は私が独自で考え出した首イボ治療方法mikoメソッドについては、下記の記事を参考にしてみてください。
▷ 「首のぽつぽつを除去!mikoメソッドとは」