レーザー後の色素沈着（炎症後色素沈着・戻りシミ）
レーザーでシミ治療をしたのに、時間が経つにつれて再び茶色く見えてきた…
その濃く見えるシミは、いわゆる戻りシミ（炎症後色素沈着：PIH）の可能性があります。
炎症後色素沈着とは、レーザー照射や摩擦などの刺激によって肌が炎症を起こし、一時的にメラニンが過剰に作られてしまう状態です。
治療の失敗やシミが「戻った」わけではありません。レーザー治療の過程で多くの方に起こりうる反応で、適切なケアを行うことで少しずつ必ず薄くなっていきます。
しかし、何もしないと長引くこともあり、「なかなか消えない」「治療前より濃く見える気がする」と不安になる方も少なくありません。
この記事では、
・炎症後色素沈着とは何か
・通常のシミとの違い
・どのくらいで良くなるのか
・改善するための治療方法
・悪化させないためのセルフケア
をていねいに分かりやすく解説します。
レーザー後の“戻りシミ”に悩んでいる方も、正しい知識を持つことで、きれいな肌への近道が見つかるはずです。
炎症後色素沈着（PIH）とは？
炎症後色素沈着（PIH：Post-Inflammatory Hyperpigmentation）とは、肌が炎症を起こしたあとに一時的に茶色く沈着するシミのような状態のことです。
レーザー治療や摩擦、虫刺されやニキビ跡など、肌に刺激が加わったあとに現れる色素沈着で、美容医療の中でも特にレーザー治療後によく見られます。
炎症によってメラノサイト（メラニンを作る細胞）が活性化し、通常より多くのメラニンが作られることで茶色く見えます。
炎症後色素沈着は「治療の失敗」ではありません
レーザー後に色が濃く見えても、それは「シミ取りがうまくいかなかった」「取り残し」というわけではありません。
レーザー照射は必ず“軽い炎症”を起こす治療のため、炎症後色素沈着は多くの患者さまに起こりうる反応です。
・肌が敏感になっている時期
・紫外線を浴びやすい季節
・乾燥しやすい肌質
・元々色素沈着が出やすい体質
これらの場合で炎症後色素沈着は起こりやすくなります。
自然に薄くなる一時的な症状です
炎症後色素沈着は、肌のターンオーバーに合わせて半年〜1年ほどかけて自然に薄くなるのが一般的です。しかし、自然に消えないケースもあります。
・紫外線対策が不十分
・摩擦などの刺激が多い
・適切なスキンケアができていない
・色素沈着が出やすい体質
といった場合は、改善に1年以上かかるケースもあります。
通常のシミとの違いは？
炎症後色素沈着と通常のシミ（老人性色素斑など）は、原因・性質が異なります。
● 炎症後色素沈着 →「炎症」が原因（ニキビ跡やレーザー後など）
● 通常のシミ →「紫外線」や「加齢」が原因
炎症後色素沈着は、炎症が落ち着けば自然に薄くなる可能性がありますが、通常のシミは自然には消えることはないため、レーザー等の治療が必要です。
炎症後色素沈着ができる時期の目安
炎症後色素沈着は、レーザー直後に出るわけではありません。
・レーザー照射後すぐ：一時的にシミが濃く見えることがある
・1〜2週間：かさぶたが自然に剥がれる
・2〜4週間後：茶色い沈着（炎症後色素沈着）が徐々に出てくる（戻りシミ時期）
この“少し時間差で現れる”点が、取り残しとの誤解につながる原因でもあります。
レーザー後に炎症後色素沈着が生じる4つの理由
レーザー治療後の肌は、とてもデリケートな状態です。そのため、治療直後から数週間の間にさまざまな刺激が加わることで、炎症後色素沈着（戻りシミ）が起こりやすくなります。
ここでは、その理由を4つに分けてご説明します。
① レーザー照射による炎症反応
レーザー治療は、熱エネルギーを使ってシミの元となるメラニンを破壊する仕組みです。
その際、肌は軽微な“やけど”に近い状態となり、一時的な炎症を起こします。
炎症が起きると、肌は防御反応としてメラニンを産生しやすくなります。
・レーザー直後に赤みが出る
・数日後から肌が乾燥する
・触れると熱っぽい
これらの反応が起きやすく、色素沈着が生じる土台ができます。
③ 治療後の肌はとても敏感
レーザー照射後の肌は、バリア機能が低下し外部刺激に非常に弱い状態です。
そのため、紫外線・摩擦・過度なスキンケア・熱・乾燥など、普段なら問題にならない刺激でも炎症が起き、色素沈着を招きやすくなります。
特に紫外線は最も色素沈着を悪化させる要因で、「レーザー後は必ずUVケアを」と言われる理由もここにあります。
④ 治療後のアフターケア不足
レーザー後のケアは、炎症後色素沈着の予防に欠かせません。
以下のようなケア不足は、色素沈着を長引かせる原因になります。
・紫外線対策を忘れる
・こする洗顔や強い摩擦
・屋外で長時間過ごす
・肌が乾燥したまま放置する
・かさぶたを無理にはがす
治療後は「肌に触れるものすべてが刺激になる」と考え、いつも以上に優しいケアを心がけることが大切です。
炎症後色素沈着（戻りシミ）が起こるメカニズム
レーザー治療後に現れる戻りシミ（炎症後色素沈着）は、偶然できるものではありません。肌の内部では、以下のようなプロセスが進んでいます。
① レーザー照射によるメラニン破壊と同時に炎症が起こる
レーザーは「メラニン色素だけを狙って破壊する仕組み」ですが、その際に肌表面は微細な炎症を起こします。
・赤み
・火照り
・乾燥
・かさぶた
これらはすべて「炎症」が起こっているサインです。この炎症が、色素沈着へつながる最初のステップです。
② 炎症によりメラノサイトが活性化
肌は炎症が起こると、肌を守ろうとしてメラノサイト（メラニンを作る細胞）を活性化させます。
・いつもより多くのメラニンを作る
・そのメラニンが排出しきれず蓄積する
これが茶色〜灰褐色に見える「色素沈着」の正体です。
③ バリア機能が低下し、刺激により色が濃くなりやすい
レーザー後の肌は敏感になっていて、外部刺激を受けやすい状態です。
・紫外線
・摩擦
・熱
・乾燥
・衣類との擦れ
これらが刺激となり、より強くメラニンが生成され、シミが濃く見える“戻りシミ”状態になることがあります。
④ ターンオーバーが乱れメラニンが排出されない
炎症によりターンオーバー（肌の生まれ変わり）が乱れると、メラニンを外に排出できなくなります。
その結果、炎症後色素沈着が1年以上長引くケースも多くあります。
FLALUクリニックで行う炎症後色素沈着（PIH）の改善治療
炎症後色素沈着は時間の経過とともに自然に薄くなる可能性はありますが、「早く薄くしたい」「できるだけ跡を残したくない」という方がほとんどです。
FLALUクリニックでは、患者さま一人ひとりの状態に合わせた最適な治療をご提案しています。
フラルスキン治療
レアセラム美容液（高浸透型ビタミンC美容液）
Dr.miko開発のオリジナル高濃度ビタミンC美容液。炎症後色素沈着の改善・予防に欠かせないビタミンCを、肌の奥までしっかり届けます。
内服薬（トラネキサム酸・シナール・ユベラなど）
身体の内側から炎症後色素沈着を改善していく治療です。
・トラネキサム酸：メラノサイトの活性化を抑え、色素沈着を抑制
・シナール：ビタミンC＋パントテン酸で、美白＆肌の代謝サポート
・ユベラ（ビタミンE）：血行促進でターンオーバーを整える
・ハイチオール：L-システインでメラニン排出促進
・タチオン（グルタチオン）：抗酸化作用＋美白
内服薬は単独でも効果は期待できますが、外用薬やレーザー治療と併用するとより早期改善が期待できます。
